Kurumi
(更新)
みなさん、こんにちは。
英会話講師のKurumiです。
私は県立高校の進学校で、4年間英語教員として生徒たちを指導していました。また、生徒たちに英語検定等の指導をする中で、私自身も学習者として勉強を進め、TOEIC920点取得、英語検定1級に合格。現在は世界中を旅しながら、オンラインレッスンの講師をしています。
さて、大人になって英語学習をやり直している方の中には、以下のような悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか?
「基本ができていないから、中学英語からしっかりと学習し直したい!」
「中学英語ができたらもっと話せるはずなのに・・・」
「何をしたらいいかわからないから、とりあえずTOEICの教材を買って勉強している」
確かに中学英語をマスターしていれば、日常会話に関しては事足りることがほとんど。一方、学習教材として、日本でメジャーなTOEICを選択されている人も少なくないでしょう。
しかし、英語初級者には、TOEICより英検3級の対策・受験がオススメです。本記事では、なぜTOEICではなく英検3級なのかについて説明をした後、英検3級の具体的なレベル、問題形式、合格基準についてご説明します。
※ 本記事中では、TOEIC=TOEIC® Listening & Reading Testとする。
まずはなぜ、私が初級者用の学習教材として、TOEICより英検3級を推すのかについてお話します。
社会人の英語学習者で、TOEICのスコアアップを目標にしている方は多いことでしょう。確かにTOEICはキャリアアップに使えますし、ビジネスに活かせる表現が学べる、という利点があります。
しかし、TOEICは多くの紛らわしい問題を非常に限られた時間の中で、素早く正確に回答する力が求められますので、英語の知識以外にも素早い頭の回転と、反復練習が必要不可欠な試験です。
そのため、英語を基礎からしっかり学習する必要のある初級学習者にとっては、ベストではない資格試験(学習教材)と考えます。
△ 欠点
①時間が限られた中で素早く読む必要があり、精読というよりも常に斜め読みになってしまう。精読をするとなるとかなり時間がかかる。
②文章や内容の難易度が高いために、初級学習者に適したレベルではない。
③*アウトプット要素(スピーキング、ライティング)がない為に、4技能をバランスよく底上げできない。
以上の理由から、基礎ができていない学習者がいきなりTOEIC対策をして受験をしても、なかなかスコアが上がらず苦戦をするのは当然です。日本ではTOEICのスコアが必要なのはわかりますが、やはり初級学習者に適した資格試験とは言い難いでしょう。
そんな方に是非おすすめしたいのが、次に紹介する英検3級です。
* TOEIC® Speaking & Writing Testsがありますが、Listening & Reading Testに比べて受験者数が圧倒的に少なく、学習者も少なくないため、本記事ではTOEIC=Listening & Reading Testとして取り上げます。
全受験者が同一の問題を解くTOEICとは対照的に、英語検定は5級から1級まで、級ごとに問題とレベルが分かれています。また、内容も多様で、英語学習者のことを考えた良問が多いです。
△ 欠点
①CSEスコアは出るが、結果が「合格」「不合格」で出るため、不合格となった場合、資格として使用できない。
②社会人がキャリアアップとして使うには英語検定準1級以上が必要。
このように、英語検定はただの「検定」ではなく、しっかりと対策と復習をすることで、英語の基礎から応用までの学習ができる素晴らしい学習教材なのです。
出典 : 英検HP 各級の目安
英語検定準2級は高校中級程度とされ、難しい表現や長い文章が出題される一方で、英語検定3級は中学卒業程度のレベルとなっており、TOEICに挑戦するにはまだ早い英語学習初級者にとってピッタリの資格試験といえます。
自分の英語レベルや、英検3級を学習・受験すべきなのかを判断する指標として、実際に英検3級の問題にチャレンジしてみましょう。
以下のいずれの問題も、英語検定3級の定番、大問1「語句空所補充」の4択問題です。
【問2】
A: Look at the monkey ( ) a banana over there.
B: Oh, it's really cute.
1 to ear 2 ate 3 eating 4 eats
【問3】
When you speak in front of many people, you must speak in a ( ) voice.
1 tall 2 long 3 loud 4 wide
【問4】
I usually get up at seven o’clock and go to bed ( ) nine and ten.
1 before 2 on 3 still 4 between
【問5】
If Frank ( ) his knee in today’s practice, he won’t be able to play in the soccer tournament on the weekend.
1 injure 2 injures 3 injuring 4 to injure
※ 英検HP過去問題2019年度第1回より引用
詳細な解説は省略しますが、正解は以下となります。
さて、どのくらい解けましたか?
4問以上正解できなかった人は、中学英語が不十分である可能性があります。したがって、まずは英語検定3級の学習・受験から始めてみることをオススメします。
以下、各設問の和訳です。
【問2】
A : あっちにいるバナナを食べてるサルを見て!
B : わーすっごくかわいいね。
【問3】
大勢の前で話すときは大きな声で話さなければいけません。
【問4】
私はいつも朝7時に起きて夜の9時から10時の間に寝ます。
【問5】
もしフランクが今日の練習で膝を痛めたら、週末のサッカートーナメントに出られなくなるだろう。
英語検定協会は本当に英語学習者のことをよく考えています。試験終了後、問題を持ち帰ってすぐに答え合わせできることに加え、ホームページに過去3回分の過去問と回答が載っています。しかもリスニングの音源まで!無料で!
こんなに親切な検定試験はありませんよ! 先ほどの問題は、公開されているもののごく一部です。他の問題も気になった方は、すぐに英語検定のHPで問題をダウンロードして解いてみましょう!
英語検定は毎回決まった形の出題が多く、出題形式に対して対策をすれば、当日も焦らずにじっくり文を読んで問題に答えることができます。また、英語検定の内容はよくセンター試験に似ていると言われ、英検HPでは以下のように紹介されています。
英検の出題形式には、高校や大学の入試問題と多くの共通点があります。例えば、センター試験のリスニングテストには、会話や文章を聞いて質問に答える形式があり、英検の準2級や2級のレベル・出題形式との共通点が多くみられます。
(英検の特徴とメリットより)
こういった点からも、英検は勉強を頑張った人が確実に報われるような出題傾向にあることが言えるでしょう。また、TOEICのように時間が足りないような時間設定と分量ではないので、落ち着いて問題に取り組むことができます。
一次試験(筆記試験)は3技能(リーディング・リスニング・ライティング)で、一次試験合格者のみスピーキングの二次試験があります。
・ライティング
1 英作文(1問)
・リスニング
1 会話の応答文選択(10問)
2 会話の内容一致選択(10問)
3 文の内容一致選択(10問)
※ リーディングとライティング(50分)、リスニング(25分)
※ スピーキング(5分)
それでは、どのくらいの正答率で二次試験に進み、どれくらいの割合の人が合格しているのでしょうか?
よく「6割から7割で合格」と言われていますが、実はそのような明確な合格目安は英検にはありません。英検独自の採点方法があるためです。
一次試験の合格水準は、各級に設定されている合格基準スコア(英語検定3級の場合は、R/L/Wで各550点の計1650点のうち1103点)を上回るかどうかで合否が判定されますが、スコアは各回の全答案採点後に統計的手法を用いてスコア算出をしているため、私たち自身では正当数でスコアを算出することができません。
つまり、ほかの人がみんなできている問題にはスコア配分が低くなる可能性があるということです。そのような理由により、正当数で合格の目安を出すことはできないのですが、英検HPによると、2級以下は各技能6割程度の正答率で受験者の多くが合格しているとのことです。
3技能ごとに問題数は違いますが、各技能にスコアが均等に配分されています。したがって、技能によって1問あたりのスコアへの影響が異なります。ライティングは1問(550点)ですが、リーディングとリスニング(各550点)と比重がまったく同じ。
例えば、ライティングが空欄になってしまい書けなかった場合、リーディングとリスニングで満点であった場合でも、合格点に3点届かず不合格となってしまうということです。
つまり、3技能バランスよく点数を取る必要があります。逆にいえば、苦手な技能があっても、得意な技能の得点でカバーできれば合格可能です。
TOEICはリーディングとリスニングに学習が偏ってしまいがちですが、英検は4技能のバランスを重視するため、特に初級者の英語学習教材としてはとても優れていると感じます。英検の対策をすることで、スピーキング、ライティングというアウトプットの能力もおのずと高まっていくことが期待できます。
リーディングとリスニング対策は問題集などの書籍を中心に、スピーキングとライティングの練習には、いつでもどこでも手軽にレッスンを受けられるオンラインがオススメです。
いかがでしたか?
大人のやり直し英語教材として英検3級は見落とされがちですが、以下のような多くの利点があります。
・中学英語がどのぐらいできているのか把握できる。
・4技能をバランス良く学習・習得できる。
・合格不合格だけではなく、英検CSEスコアにより技能ごとの能力を絶対指標で知ることができる。
・中学卒業程度のレベルの教材としてよく作られており、英語学習初級者にとって非常に魅力的。
・問題冊子の持ち帰りやホームページでの過去問の公開など、学習者にとって取り組みやすい。
中学英語をもう一度やり直したい方、自分の英語レベルを再度きちんと把握したい方、ぜひ英語検定3級に挑戦してみてくださいね!
ちなみに英語検定は、年に3回、6月、10月、1月にあり、約2ヶ月前から申し込みができます!
英検3級の具体的な対策につきましては、次回の記事でご紹介していきますのでお楽しみに!